vol7 後編
では、あれだけの個性的なキャラを生み出す秘訣はありますか?
- 例えば山吹は千石や亜久津みたいに単体で行動してるキャラが浮かんで、そこからじゃあ周りの子はどうしようかなって考えたパターンだし、氷帝に関しては「完全にワンマンなヤツが率いているホスト集団」みたいな学校を出したいってことろから跡部が生まれて。個人から思いついたり、学校の特色から思いついたりいろいろ。
秘訣、ではないけれど、テニプリってファンのみんなが創ってくれているところも大きくて、それこそどんなヘンなキャラが出て来ても受け入れてもらえるし育ててくれるので(笑)、そこはホントに感謝している部分。田仁志くんみたいなキャラが応援してもらえるのもある意味特殊なことだと思うよ(笑)。あと、地味'Sなんかは実は漫画のほうでもう少しエピソードを盛り込みたかったなぁって思ってたふたりなんだけど、それこそミュージカルの演出がすごく面白くなってて…それで改めてみんなに注目されて、より愛してもらえるようになったキャラだったりするし。
- ファンの方はもちろん、テニミュもキャラクターを育てているひとつの場になっている。
- 嬉しいよね。
僕は自分で演じてて、全国決勝でリョーマの感覚が奪われていくところが結構好きだったんですが…。
- あそこ、よかったよ。とっても!
- すごくいいシーンで、ああいう表現は役者としてもすごくやりがいを感じていました。
原作を描いていたときはどんな気持ちだったんですか?
- リョーマが幸村に感覚を奪われてトスも上げられない、もうなにも聞こえないし、見えなくなってしまった、テニスってこんなに辛いモノだったっけ?というところから迷いが晴れて天衣無縫になるあのくだりは、今思うとよく描けたなぁって…自分でもそう思うくらい素晴らしい展開。もしかしたら今の自分じゃ考えつかないかもしれないとすら思います。たぶんあのときは…俺自身が天衣無縫になってたのかもね。物語にグワーーッと入って集中して創っていってたから、自分がリョーマの苦しい気持ちになって、ものすごい絶望感を味わって、でもやっぱりテニスは楽しいんだっていう気持ちにもなれて、天衣無縫につながった。そして──
- 楽しんでる?
- うん、あの小越くんもすごくよかった。天衣無縫になってからのあの笑顔をね、たくさんのお客さんが観ているんだっていうそのこともすごく素敵だなって思ったし。俺もお客さんといっしょに「頑張れ〜。大丈夫、リョーマはテニスが大好きなんだから」って応援してたよ(笑)。
- (笑)。
- ほんとに最後まで立派なリョーマでした。お疲れさま。
- ありがとうございます。こうして先生とふたりでじっくりお話ができて僕も嬉しかったです。
9年間原作を書き続けた先生と4年間リョーマを演じ続けた小越さんの、念願かなってのがっつり対談。お話中は先生から小越さんへも積極的に質問が投げかけられ、その熱気溢れるやりとりも印象的でした。
そして…小越さんのMC番外編もこれにてすべて終了。シリーズのご愛読、ありがとうございました。