vol5
みんな、最初にテニミュを観たのは?
- 僕、四天宝寺※。あのとき古川(雄大)さんの不二を観て、憧れて、「自分もこういう舞台をやりたい!」ってすごく思った。
(※ミュージカル『テニスの王子様』The Treasure Match 四天宝寺 feat.氷帝(2009年)公演のこと)
- 俺はドリライ※で…やっぱり自分もああいう大舞台に憧れたし、今でもすごく印象に残ってるなぁ。
(※ミュージカル『テニスの王子様』コンサートDream Live 7th(2010年)のこと)
- で、そのあとに実際2ndシーズンのオーディションを受けたわけだけど、オーディション、いろいろあったよね。
- 僕は「絶対受かりたい!」と思って…そう、初めて一輪車を持って行かなかったんだよね。(※三津谷さんは一輪車の世界大会で2度、1位に輝いている)
特技ではあるけど、オーディションを前にふと気づいたの。「テニミュには一輪車関係ないんだ!」って。
- そうなんだ。みちゅの一輪車、そのあと稽古場で見たときはビビッったけどね。めちゃめちゃ上手くて。
- 凄かったよね〜。
- そういえば勇輝は太鼓叩いてなかった? バチを持って、床叩いて…。
- いや、床は叩いてない(笑)。でも、とにかくなにかやろうと必死だったのは覚えてるなぁ。で、途中でバスケをやったら「あ、バスケはいいです」って言われちゃって。みちゅの一輪車じゃないけど、それもそうだよなぁと。
- (爆笑)。
- それで自分で考えて練習して、ラケットもって片手側転をしたんだけど。
- あれね。良かったよね。
- たっくんはラケット持って芝居してたもんね。
- そうだよ〜。俺も特技とかホントになんにもないから、なにすればいいのかすっごい考えて、とりあえず動画サイトで見つけた『ハムレット』の台詞を暗記した。
- え、そうなの? 前にどこかでやってた芝居の再現かと思ってた。
- 違う違う。皿洗いのバイト中にずっとその動画を流し続けて、ひたすら覚えたんだよ。でもさ、あの頃のみちゅって今と全然印象違うんだけど…?
- それはねぇ…自分はもともとはいじられキャラなんだけど、そういうところがオーディションで出ちゃったら絶対ダメだと思って、わざとクールにしてたという感じかな。一緒にオーディション受けてた同じプロダクションの仲間には「オーディション現場では絶対僕に触れないで。いじらないで。放っといて」ってお願いしてたくらいだから。
- なるほど。確かにあのときは(桃城役に決まった)上鶴(徹)とか、君の仲間、にぎやかだったもんね。
- (笑)。
6代目としてステージに立ってからはどんなことを考えてた?
- 僕は自分自身の性格が不二くんと真逆すぎて…だから最初は「自分はちゃんと不二に見えてるのかなぁ」って、周りの目ばっかり気にしてた。
- 最初はホントそんな感じ。キャラクターのメイクや衣裳がちゃんとハマッてるかとか、そういうことひとつひとつが自分じゃあんまり判断できないし。
- そうなんだよね。でもあるときから「いいや」って開き直って、そうしたら伸び伸びとやれるようになった。
- 「お客さんにちゃんと観てもらえるモノを」という一心だったからね。みんな、とにかく必死。もちろん自分もただただ必死だった。
- 俺が今でも覚えてるのはね、最初の公演の本番直前に最後の通し稽古があって、そこで結構周囲からのダメ出しがあったでしょ。特に(菊丸英二役の小関)裕太と(大石秀一郎役の)じんじん(平牧_仁)がすっごくいろいろ言われてて。
- あれね〜。うん、覚えてるよ。
- もちろん覚えてる。ストレートにわりとキツイことを言われてたんだよね。
- そう。もうその瞬間全員「シーン…」ってなって。
- 僕ね、あのとき心の中で「だったらもっと早く言ってくれればいいのになぁ」って、すごく思ってた。今でこそ打たれて強くなる、上手になるっていうのはわかるけど、当時はみんな打たれ弱かったからね。
- そうなんだよね。ふたりとももう泣いちゃって。
- しかも裕太は笑顔しか見たことなかったから…。「あの裕太が」って、すごくびっくりした。
- そういうの全部含めて、自分はあのとき初めて人のピンチで自分が焦るという経験をしたわけ。今まで全然知らなかった人たちと稽古をして、そして今目の前でその中のふたりが泣いている。本番まではあと数日。それなのに自分は今、なにを言ってあげたらいいのかわからない…。で、「あ、これがチームプレーってことなんだ!」って気づいたんだよね。それまでもずっと「普段でも手塚でいよう」と言ってて、でも実際はなかなかそれがどういうことか理解しきれてなくて…でもあの瞬間に「これだ」と。ここで行動しなくちゃと。
- たっくん、最終的にはみんなを集めて言ってくれたからね。「周りの意見も大切だけど、今まで自分たちが積み上げてきたものを信じてやっていこうよ」って。
- そう。あのとき青学自体が一気にギュッとなったんだよ。初めて本番に向けて研ぎすまされていったというか…。僕はそんなたっくんを見て「こういうひと声かけてくれる人がいてホントに良かった」って感動した。
- でもさ、ホントにみんな初めての経験で、あのときは頑張り方すらわからなかったっていう感じだったからなぁ。キツかったよね。
- あのダメ出しは大きくて衝撃的な爆弾だったけど、すごくためになった爆弾だった。
- うん。そしてふたりの涙は青学メンバーに「もっともっと各々の意識を高めていかなきゃ」って改めて思わせてくれる涙だった。
- そうだね。そこを乗り越えての「青学vs不動峰」公演はあっという間だったなぁ。終わるのがすっごく早かったように感じられた。ちなみにその次の「青学vs聖ルドルフ・山吹」公演のときは上鶴が「(海堂役の)池岡が全然いうこと聞かないんですよぉ」とか言って来て、それはそれで面倒だったけど。
- (爆笑)。
青学6代目として一緒にゼロからスタートして、ふたりは一足先に卒業して。これからの僕たちはどんな関係になっていくんだろう?
- 自分自身思い返して感じるのは、当時はみんながチームの一員としてそれぞれにいろんなことをやってくれていたのに…自分は何もみんなにしてあげることが出来なくて。今更だけど反省してます。今でもみんなで集まるときはたっくんが先頭に立って連絡とかしてくれてるけど、当時もそんな感じだったしね。たぶん僕が集合かけたら、出席率が悪そうな気がする(笑)。
- それはあるかもね。…なんて(笑)。
- でも特別な時間を過ごした同士、くだらないおしゃべりをするだけでもすっごく元気と勇気をもらえるから、いつまでもそういう仲間同士でいたいな。
- 現青学の公演を観に行って、終わってから勇輝との写メをスタッフさんに撮ってもらったんだけど、そのときにスタッフさんが「勇輝くんの表情がなんかすごくやさしくなってる」って言っくれて。些細なことかもしれないけど、それがなんだかすごく嬉しかった。6代目はみんな無意識に自然に、一緒にいるとそういう空気になれる間柄。自分にとってはもうひとつの家族なんだって思ってます。
- なんか…いいですねぇ(照)。ホントにね、出会ってからずっと「いて当たり前」の家族のように同じ時間を過ごしてきた6代目メンバー。みんなは僕にとっても今でもずっとかけがえのない存在です。今日は来てくれてありがとう。
連載を重ね着実にインタビュアーとしての腕を上げてきた小越さんですが、今回は終始今までにないくらいのリラックスモード。まさに我が家のリビングで家族とのくつろぎの時間を過ごしているような空気が漂う現場となりました。和田さんと三津谷さんの"いじりいじられ"トークの息もピッタリ。
テニミュファミリーの絆の強さと深さは本物です。
次回、第6回は連載もいよいよ佳境。乞うご期待、"彼ら"の登場です!